小型ケースで組む時のツボ! ケーブルをまとめよう

こんにちは、ライター宮川です。今回は、前回からの続きのような、続いていないようなお話です。前回、冷却性能と騒音を、と予告しましたが、ちょっと脇に逸れて配線のことを書きたいと思います。

・前回 ガッツリ組めるmicroATXケース「DS Cube Window」をチェック!

ケーブル配線は思っている以上に大事

言うまでもないですが、ここで扱う「配線」とはケーブルをPCケース内のどこに通すかということです。小さめのPCケースでは、この配線が組み立ての際のポイントになります。うまく配線ができていないと、ケーブルでエアフローが妨げられて熱がこもりやすくなるうえ、ケーブルがファンに絡んでしまう、側面パネルが閉められないなど、トラブルの種になるためです。ATXケースではマザーボードの裏側のスペースにケーブルを回す、いわゆる「裏面配線」ができる場合が多いですね。小型ケースだと構造上それも難しい場合があり、小さくなるほど配線の重要度は高まっていくと言えます。

一口に配線と言ってもアプローチは色々ありまして、使うPCケースによっても有効な方法は変わってきます。今回は前回紹介した「AEROCCOLのDS Cube Window」をサンプルにして、基本的なケーブルのまとめ方を紹介しようと思います。DS Cube Windowは、一般的なATXケースと比べると小さく、内部構造も独特です。内部スペースにはあまり余裕がないので工夫のしがいがあります。

(個人的に)ビニールタイが最強

最初に、配線に使う小道具を紹介しましょう。道具を使わないやり方もありますが、使った方が簡単ですし、仕上がりもきれいにしやすいです。個人的なお勧めは100円ショップの園芸用コーナーなどで売っているビニールタイ。針金をビニールの皮膜で覆っているものですね。基本的にこれさえあればOKです。1個で数十メートルあるので、コストパフォーマンスが高いのもいいですね。結束バンドでもいいのですが、好きな長さで使える、外しやすい、劣化しにくいなどメリットが多いのでこちらの方が好みです。価格の高いものだと皮膜が丈夫なので一度締めてからほどいても問題ない場合が多いのですが、安物だとすぐに破れてしまうので注意が必要です。金属部分が露出していると怪我をしたり、基板に当たってショートしてしまうなど事故の恐れがあります。もったいないと思わず、すぐに交換しましょう。

他にもスパイラルチューブや粘着シートで取り付けるフックなど、100円ショップやホームセンターには配線まとめに便利なアイテムがたくさんあります。そういう視点でお店を回るのも面白いですね。

さて、具体的にケーブルをまとめる話に移りましょう。基本は「折りたたむ、縛る、固定する」です。まずケーブルの数が多くて一番困りやすい電源ユニットを見てみます。比較的やりやすいのが、全く使わなかったケーブルの処理です。

端子を1個も使わないケーブルが出ることもあるでしょう。そのままでは邪魔になってしまいます。
元から付いている折り癖に沿ってたたみ、ビニールタイでまとめます。これでも十分ですが、癖のついたケーブルだと先が開いてしまいます。
3カ所で留めると先が開くこともなく、きれいになります。ただし外す時や、再度まとめる時に面倒になります。
まとめたら、ドライブベイの空きスペースに入れておきましょう。

新品の電源ユニットは、パッケージにすごくきれいに収納されていますね。これを参考にし、もともと付いている折り癖をそのまま利用する方法です。折り癖が既になくなっている、または最初からない場合は、端子のところで折り返すとよいでしょう。まとめる際は中心1カ所でも十分ですが、両端に近いところも合わせて3カ所留めるとよりスマートになります。ただ、後でそのケーブルを使う時に外すのが面倒になります。これに限らず、きれいにまとめると後で手間が増えるので、あまりきっちりやらない方がよい場合もあります。

まとめたケーブルは、空いているベイに入れておきます。入れておく場所が無い場合は、シャシーに縛っておくのも有効です。

ドライブベイは基本的に穴が空いているので、写真のように固定するのもありです。上段のマウンターは外しています。

次に、ケーブルのたるみの対策しましょう。たるんでいると、他のケーブルと絡まったり、パーツの取り付けの際に引っ掛かったりする恐れがあります。まとめて縛るという基本は同じですが、折り癖ではなく、長さに合わせて折りたたみます。これは写真で手順を紹介します。例としてケースファンのケーブルでやっていますが、電源ユニットのケーブルでもできます。

電源ケーブルを電源端子につなぎます。ここではマザーボードの代わりにテスト用基板を使っています。
ファンと電源端子の中心付近でケーブルをつまみます。たるみが輪のようになります。
つまんだところを軸にして、ファンの方向に折りたたみます。
ビニールタイで留めます。これでたるみがなくなりました。たるみ部分が長い場合は、一度折り返してから留めるとよいでしょう。
スペースが無くてうまく作業できない時は、写真のようにケーブルをつなぐ前に折りたたんでおくのも手です。ただ、長さが足りなかった時はやり直しになります。

ケーブルを折りたたむと断線しないか心配な人には、輪を作る方法もあります。この方法は、個人的にCPUクーラーのケーブルでよく使います。

こんな風に付ける人はいないでしょうが、あくまで参考例です。
ゆるく輪を作ってつなぐとこんなにコンパクトになります。折りたたまないのでケーブルにあまり負担がかかりません。ポイントは輪を作った後に強く引っ張らないこと。引っ張ると結び目になってしまいます。

Serial ATAケーブルも結構悩みどころです。マザーボードに付属するケーブルは50cmのものが多く、小型ケースには長すぎるためです。これも2パターン紹介しましょう。

輪を作って留める方法です。ケーブルが硬いのであまり小さくできず、少しスペースを取るので使えない場合もあります。
結局空いているベイに入れてしまうのが最もシンプルで効果的です。ドライブベイはねじ穴が空いているので、固定していないのが気になるならビニールタイを通して縛りましょう。ただベイの中は狭いのでかなりやりにくいです。

前面端子やファンのケーブルなど、ケーブル自体が細い場合はマザーボードの下、スペーサーとの間を通すという手段もあります。マザーボードを固定する前に下を通しておくわけです。これは特にスリムケースで組む場合に覚えておくと便利です。難点は、後で通す位置を変えたい時にマザーボードを外す必要があり、かなり手間がかかることです。またケースの構造によってはあまり意味が無い場合もあります。

「DS Cube Window」は元々マザーボードの上のスペースが広いので、あまり意味は無かったと思います。あくまで紹介のためです。

さて、紹介したテクニックを使って組んだのがこちらです。結構きれいにできたのではないでしょうか。ビニールタイの緑色は落としてしまった時などに目立ってよいのですが、正直見栄えはあまりよくないですね。見た目も重要、という人は黒など目立たない色のものを選びましょう。

散乱しがちなケーブルがまとまっています。これならエアフローもバッチリです。

こちら側はあまりまとめていません。ケーブルがちょうどよい長さだったので、無理にまとめる必要はないかと思います。USB 3.0のケーブルが長かったので輪にしています。
ちょっと番外編で、このケース特有の方法です。前面USB 2.0と音声入出力端子のケーブルを上に引っ張り、余ったケーブルをBDドライブの上にしまいました。これもある意味では裏面(上面?)配線ですね。USB 3.0のケーブルは硬く、この位置に引っ張り出そうとするとケーブルに負担がかかりそうだったので止めました。

色々紹介しましたが、気を付けないといけないのは、やりすぎないことです。先述のとおり、細かくまとめていくと見た目は良くなりますが、後でパーツを交換したり増設したりする際に面倒になります。見た目と実用のバランスがうまく取れるといいですね。