ガッツリ組めるmicroATXケース「DS Cube Window」をチェック!

こんにちは、ライター宮川です。

PCを自作する時、一番楽しいのはプランを練っている時ですよね。予算が限られている場合、譲れないのはどこか、逆にどのパーツは妥協していいのか、あれこれ悩むのはとても楽しいものです。

考えているうちに、だんだん優先度が落ちてしまいがちなのがPCケースです。安物を使っても性能に影響しないですからね。でも本当にそれでいいのか、というのが今回のテーマです。

PCケースはとにかく種類が沢山あり、一つを選ぶのは案外大変です。候補を絞っていくには何かしらの条件を設ける必要があります。このやり方には4種類あると私は考えています。人気、価格、外見、用途、の4パターンです。

1.人気で選ぶ

これはある意味最も正しい選択です。指針が無い場合はショップで店員さんに売れ筋を聞きましょう。売れ筋は多くの人に合うようにできているので、後悔しにくいのです。例えば、2011年に発売したCorsairの「Obsidian 400R(CC9011011-WW)」があります。外に膨らんだ側面パネルのおかげで裏面配線がとてもしやすいのが特徴です。

2.価格で選ぶ

予算上の制限で選択肢が狭くなっている状態です。その中から選べばいいので考えることは少なくて済みます。下限まで下げれば2000円程度で買えますが、もちろん品質はそれなりになります。細かいことを気にしないならこれでもOKです。2012年に発売した「2GFP55R」(GIGAZONE)のように、電源付きケースを選ぶのも有りです。2GFP55Rは7000円前後で買えたので、半分をケース代と考えれば3500円と激安でした。

3.外見で選ぶ

拡張性や剛性、冷却性能といったスペックではなく、見た目が良いかで決める選び方です。PCを使うたびに見ることになるものですので、見た目はかなり重要です。理屈ではないのであまり語ることは無いのですが、使うパーツが収まることだけは確認しましょう。個性的な外見と言えば、Corsairの「Air 540」もスゴイですね。見た目に反して驚くほど組みやすく、ATXマザーの入るキューブケースというニッチなジャンルにも関わらず人気モデルです。

4.用途で選ぶ

自作派ならやはりこれですね。ベイの種類や数、収められるCPUクーラーの大きさや拡張ボードの長さ、ケース自体の大きさなどを考慮して決めます。設置スペースや使用するドライブの数、長さ何cmのグラフィックスカードを使うといった具体的な条件があれば絞り込みやすくなります。これでなければダメ、というような決定的な要素があるとなお良いですね。例えば、PC本体を置く場所が無いなら液晶モニタの裏に取り付けられるAntecの「ISK-110 VESA」、というようにすんなりと決められます。

ただ、一つの条件で最後まで絞るのは現実的ではありません。いくつかの要因を組み合わせて決めることになります。個人的には、PCの上に物を置くので、上面が平らであることが条件になります。

ATXは必要?

皆さんご存知のように、自作PCはATXが主流です。Mini-ITXもここ数年で人気が急上昇しています。割を食っているのはmicroATXです。もともとmicroATXはあまり人気がありません。理由はいくつかありますが、PCケースがATXと比べてあまり小さくならないのが主な原因かと思います。マザーボードの分高さを5cm程度低くできる以外に、構成する要素にATXとの違いが無いからです。拡張性が欲しいならATX、小型化したいならMini-ITXを選ぶので、microATXを選ぶ理由が無い。そのためか、microATXケースはそもそも製品の種類が少ないのです。

ですが、個人的にはmicroATXはそろそろ見直されてもいいのではないかと思います。と言うのも、最近のマザーボードはどんどん多機能になっており、また周辺機器はUSBに集約されているため、グラフィックスカード以外に拡張ボードを使う機会が激減しているためです。ATXの拡張性が必要な場面の方がレアケースになっているのではないでしょうか。15年前ならグラフィックやサウンド機能、LANも無いマザーボードも多かったですが、今はだいたいオンボードで備えています。Mini-ITXは小さ過ぎて基板レイアウトが独特になりますし、ケースのベイの数が少なかったりとニーズに合わない場合もあります。必要十分な仕様としてmicroATXは活躍できると思うのです。

外見はすっきり、中身はちょっと変わったmicroATXケース

さて、前置きが長くなりましたが、今回紹介するのはPCケース、AeroCool Advanced Technologiesの「DS Cube Window」です。静音性と拡張性が売りで、microATXに対応します。名前に「Cube」とある割には立方体に見えないのが気になりますが、それはともかく作りを見て行きましょう。ちなみに「DS」は「Dead Silence」の略です。「(不気味なほど)静か」という意味で、そんなタイトルのホラー映画がありましたね。もちろんPCケースなのでホラー要素はありません。

前面端子は上面にあります。左側はヘッドホン/マイク端子、HDDアクセスランプ、リセット/電源スイッチ。右側はUSB 3.0と2.0端子が2個ずつです。電源スイッチのロゴは稼働中は青く光ります。
背面を見ると、パーツの配置が一般的なPCケースとは違うのが分かります。マザーボードのバックパネル部が横向きになっていますね。

DS Cube Windowはスチール製のシャシーにプラスチックの外装を取り付けた構造です。カラーバリエーションが豊富なのが魅力で、ブラックの他に、ホワイト、レッド、オレンジ、ゴールド、ブラック/ホワイトの6種類があります。外装の塗装はつや消しで、表面が滑らかなゴムのような手触りになっています。これはぜひ実際に触ってみてほしいですね。用事がなくてもつい撫でたくなる触感です。寸法は265×395×410mm。小さめのATXケースくらいの大きさがあるのですが、丸みを帯びたデザインのためそれほど大きく感じません。

最大で高さ20cmのCPUクーラーや28cmの水冷式CPUクーラーのラジエーター、32cmのビデオカードなど大型パーツを搭載可能で、拡張性の高さは十分に備えています。前面と背面以外は基本的に吸気/排気用の穴が無いので、静音性も期待できます。前面に直径20cm、背面に12cm角ファンが搭載済みというところから、前面から背面にエアフローを作るという意図が伺えますね。どの程度冷えるのかは検証してみたいと思います。

珍しい機能としては、天板を交換できる点があります。組み立ての際の利便性のために天板を外せるPCケースは多くありますが、DS Cube Windowは交換用のメッシュパネルが付属しているのが特徴です。出荷時は一枚板のパネルが付いています。メッシュにすると静音性が落ちるので、天板にファンや水冷クーラーのラジエーターを付けた時だけ交換するようにした方がよいでしょう。

背面側にストッパーが付いています。これを左にずらすと開放になります。
ストッパーを開放すると外せるのですが、つまめる所が無いのでケース内側から押しましょう。
上面の交換用パネル。ストッパーの部品が付いていないので、元のパネルから外して付けます。
上面のパネルをはずすとファンを固定するための穴があります。ファンを付ける場合は、上面パネルをメッシュに交換しないと排気できないので注意しましょう。

もう一つ変わっているポイントは、マザーボードを水平に固定することです。Mini-ITXケースでは一般的ですが、microATXケースでは珍しいですね。メーカーによると、これによりCPUクーラーなどの重みでマザーボードが歪んでしまうのを防げるそうです。横置きは空間を広く使えるメリットもあり、高さ20cmと巨大なCPUクーラーに対応します。実際には高さ20cmもあるクーラーはまず無いので、高さの心配が無いと理解した方が良さそうです。

マザーボードベースが仕切りになり、2段構造になっています。

ベイの構成を見てみましょう。2.5/3.5インチシャドウベイはマザーボードの下にあります。3.5インチベイは2個あり、専用マウンターを使うタイプです。

マウンターにある2カ所のつまみを寄せるように押して引き出します。ちなみに、ここに付属品ボックスが入っていました。
マウンターは幅を広げられるようになっており、3.5インチドライブを挟んで固定します。ねじは不要で、取り付けは極めて簡単です。
HDDを付けるとこんな感じです。
このマウンターで2.5インチドライブにも対応します。この場合は底面からねじ止めします。
2.5インチベイは側面に留め具があります。
ゴムワッシャーをドライブにねじ留めし、ベイに差し込みます。ベイ側面の留め具によって外れないようになります。

気になる機構をざっとご紹介しました。次回は実際に組み立てて、音と冷却性能を測ってみようと思います。