2017年3月時点、ECS「LIVA Z」は2タイプが発売されています。Intel Pentium N4200 CPUを搭載したタイプと、Intel Celeron N3350 CPUを搭載したタイプです。それぞれWindows 10インストール済みモデルと、OS無しモデルが用意されています。つまり4製品発売されています。
検証結果(より詳しくは記事をお読みください)
・ECS LIVA Zは、N3350でもN4200でも4K動画をスムーズに再生できる
・4K再生中にN3350はCPUが100%になる。N4200は余裕がある。
・リビングの4Kモニターで、4K動画を再生したら楽しいはず。
・Windows 10インストール済みモデル 2製品
LIVAZ-4/32-W10(N4200)
LIVAZ-4/32-W10(N3350)
・OS無しモデル 2製品
LIVAZ-4/32(N4200)
LIVAZ-4/32(N3350)
ECS「LIVA Z」のスペックをざっと紹介します。大きさは117 x 128 x 33 mm、重さ365g、前面にUSB3.0×3、USB Type-C×1、オーディオジャック×1、背面にギガビットLAN×2、HDMI出力×1、mDP出力×1を備えています。
CPUはN4200/N3350、オンボードグラフィックはHD505/500、メモリは4GB、ストレージはeMMC 32GBです。メモリは16GBまで増設可能、ストレージの拡張スロットはM.2 2242コネクタが用意されています。
N4200とN3350の大きな違いはコアの数です。N4200は4コアでスレッド数は4です。N3350は2コアでスレッド数は2です。バースト周波数やグラフィックプロセッサーも少しだけ違いますが、その他はほとんど同じです。
LIVAZ-4/32-W10(N4200)と LIVAZ-4/32-W10(N3350)の基盤を比べてみても違いがまったく分かりません。CPUの処理性能で2つのモデルが用意されています。人気はN4200になるでしょう。
4コア N4200タイプはこちら
ECS 小型デスクトップパソコン LIVA Zシリーズ Pentium N4200/メモリ4GB/eMMC32GB/Windows 10 Home LIVAZ-4/32-W10(N4200)
2コア N3350タイプはこちら
ECS 小型デスクトップパソコン LIVA Zシリーズ Celeron N3350/メモリ4GB/eMMC32GB/OSなし LIVAZ-4/32
CPUのベンチマークを調べるとN4200とN3350の性能の違いがわかります。ベンチマークを見るとIntel Pentium N4200に魅力を感じます。2コアと比べ4コアの性能は高いです。
Intel Pentium N4200のCPU Benchmarksは2066です。
http://www.cpubenchmark.net/cpu.php?cpu=Intel+Pentium+N4200+%40+1.10GHz
Intel Celeron N3350のCPU Benchmarksは1165です。
http://www.cpubenchmark.net/cpu.php?cpu=Intel+Celeron+N3350+%40+1.10GHz&id=2895
N4200やN3350の開発コードネーム「ApolloLake」です。2017年3月時点も、最新世代CPUです。開発コードネーム「Braswell」や「Cherry Trail」より30%ほど性能が向上しています。N4200 CPUは、Core i3には及びませんが従来のAtomよりは性能が高いCPUとなります(※ApolloLakeのAtomも出てきました)。
Intel Atom x7-Z8700のCPU Benchmarksは1927です。
http://www.cpubenchmark.net/cpu.php?cpu=Intel+Atom+x7-Z8700+%40+1.60GHz&id=2506
Intel Atom x5-Z8300のCPU Benchmarksは1201です。
http://www.cpubenchmark.net/cpu.php?cpu=Intel+Atom+x5-Z8300+%40+1.44GHz&id=2585
Intel Core i3(2Ghz~3Ghz)のCPU Benchmarksは2000~5000です。
http://www.cpubenchmark.net/pt7_cpu_list.php
N4200やN3350の「ApolloLake」は、注目すべき点が多くデスクトップ並みの拡張性を持ちます。搭載されているオンボードグラフィックスからDCI4K60Pの出力できます。
HDMI出力の場合UHD4K(3840×2160@30hz)、DP出力の場合はDCI4K(4096×2160@60hz)に対応しています。h264/h265など動画エンコードのサポートしています。最新世代のオンボードグラフィックです。
Max HDMI Res3840x2160 @30 Hz
Max DP Res4096x2160 @60 Hz
https://en.wikichip.org/wiki/intel/pentium_(2009)/n4200
https://en.wikichip.org/wiki/intel/celeron/n3350
LIVA Zも、USB3.0ポート×3、HDMIとmDP出力、メモリの増設が可能で最大16GBまで拡張できます。M.2 2242の空きスロットがありストレージの増設も可能です。デスクトップパソコン並みのコネクタや拡張性を持っています。デスクトップパソコンとして、実用性がある小型PCに完成しています。
実際にLIVAZ-4/32-W10(N4200)をさわって見る
LIVA Zは平たいデザインの小型PCです。天板には右上のLIVAのロゴを中心に、灰色の縞模様がデザインされています。
重さは360gです。
奥行きが12cmくらい。
幅が13cmぐらいです。
足部分には丸いゴムが採用されています。
前面には電源ボタン、USB3.0×3、USB Type-c×1、オーディオジャックが用意されています。使用頻度の高いUSBがフロントに用意されているのは高評価です。使いやすい。USB Type-cは小さいコネクタ側のコネクタなので、どのように利用できるのか良く分かりません。今後周辺機器が出てくるのでしょう。vegawallet おすすめの支払い方法
背面には、DP出力、HDMI出力、LANコネクター×2、AC電源コネクタがあります。WindowsはLANコネクターが2つあっても、あまり使い道がありません。Linuxの場合はチーミング(2つのLANを一緒に使う)など使い道があります。
HDMI出力の場合UHD4K(3840×2160@30hz)、DP出力の場合はDCI4K(4096×2160@60hz)に対応しています。4K出力するならDP出力を利用するのが良いです。
付属品はCD、マニュアル、VESAマウントプレートです。
VESAマウントプレートを利用すれば、VESA対応のモニターの背面に設定できます。
裏蓋を開けると、メモリスロットの空きと、M.2 2242コネクタの空きがあることが分かります。柔軟な拡張ができる点もポイントが高いです。
ECS LIVA Zのメモリ・SSDの増設方法はこちら
http://www.pclinks.jp/2017/03/ecs-liva-z-memory-zousetu.html
動くのか?4K60Pの動画を検証
LIVAZ-4/32-W10(N4200)とLIVAZ-4/32-W10(N3350)にて、4K60Pの動画を再生して検証を行います。その前に動画サイズに関して長々と説明します。一般の状況で4Kといえば、3840×2160ピクセルのUHD4Kであることが多いと感じます。
4Kとは、FHD(フルHD:1920×1080ピクセル)の約4倍の情報量を持つ映像規格です。4Kは、UHD4K(Ultra HD:3840×2160ピクセル)とDCI4K(Digital Cinema Initiatives:4096×2160ピクセル)の二つのサイズが主要です。DCI4Kはシネマなど映像制作でよく使用されます。
Youtube等では、フルHD (1920×1080ピクセル)を1080Pで表示します。縦のサイズを分類する規格です。UHD4K(Ultra HD:3840×2160ピクセル)は2160Pです。DCI4K(Digital Cinema Initiatives:4096×2160ピクセル)も2160Pです。
フレームレート(1秒に表示される画像枚数)は、状況によってfpsやPやHzなどの単位で表示されます。映画では24fpsが主流です。一般のTVなどでは30fpsです。スポーツや動きが激しい撮影には60fpsが使われます。60fpsの場合は、再生できる環境が限られています。
撮影するカメラによって、ドロップフレームな59.94fpsや29.97fpsであることもあります。同じようなものなので60fps、30fpsとして扱います。描写方式にはインターレース(i)やプログレッシブ(P)があります。ネットで見る動画はプログレッシブ(P)が中心です。
4K60fps、4K60P、2160P60と言えば、3840×2160ピクセルでフレームレート59.94fpsのプログレッシブ(P)動画だったりします。4096×2160ピクセルの可能性もありますけど、だいたい3840サイズです。
一般で使われているモニターは、フルHD未満以外は、フルHD(1920×1080ピクセル)かWQHD(2560×1440ピクセル)が多いはずです。2Kか4Kかで論じられることが多い中でWQHD2560×1440ピクセルは、2.5Kとも言える解像度になります。1440Pの方が馴染みがあるかもしれません。
Intel Atomを搭載した従来のスティックタイプや小型パソコンでは、最大出力がフルHD(1920×1080ピクセル)です(※一部Atom機種ではそれ以上もあります)。
LIVA Zは、HDMI出力の場合UHD4K(3840×2160@30hz)、DP出力の場合はDCI4K(4096×2160@60hz)に対応しているので、WQHD(2560×1440ピクセル)サイズの液晶を使っている人や、4Kモニターを持っている人は、高い解像度を堪能できます。4Kテレビも増えているので、LIVA Zなら高解像度のモニターで使えるってことです。リビングの4Kモニターで、4K動画をズトンとみれます。
60fpsに対応しているため、高フレームレートの動画も再生できてしまうという優れものなのです。LIVA Zなら、UHD4Kより高い解像度のDCI4Kに対応している点も面白いのです。まあLIVA Zが対応しているというより、第9世代の「Apollo Lake」のオンボードグラフィクスHD500/505の機能です。
検証のために4K60Hzモニターを準備
4Kモニターですが、目が疲れにくいiPS液晶がお勧めです。お手頃でかつiPS液晶の4Kモニターを探してゆくとDELLかLGを選択することになるでしょう。
国産メーカで価格も安いから良いと信じて選択すると、TN液晶だったりします。TN液晶が使われているモデルはその記述がないことがありますので要注意です。例えばイイヤマとかIOデータとかです。
Dell ディスプレイ モニター P2415Q 23.8インチ/4K/IPS非光沢/6ms/HDMI,DPx2(MST)/sRGB99%/USBハブ/3年間保証
LG モニター ディスプレイ 24UD58-B 23.8インチ/4K(3840×2160)/IPS 非光沢/HDMI×2、DisplayPort/ブルーライト低減機能
DELL P2415Qの輝度は300cdです。LG 24UD58-Bの輝度が250cdです。動画で使うならDELL P2415Qの方が良いです。LG 24UD58-Bはずいぶんと安いので、安さを重視するならLG 24UD58-Bがお勧めです。
DELL P2415Qを準備しました。
3840×2160にて60Pヘルツで動作しています。
モニターも重要ですが、モニターのカラープロファイルも大切です。キャリブレーションしていない液晶モニターは、正しい色で表示されません。黄ばんでいたり、青かったり赤かったりします。その状態を見て、液晶が悪いというトンチンカンな人もいます。
目で見て調整することもできますが、ディスプレイキャリブレーションツールで正しい色にすることをお勧めします。4Kなど高精細な液晶モニターを購入しても、間違った明るさや色調で見ていては意味がありません。
i1Displayを購入しておくと便利です。業務でも使用するディスプレイキャリブレーションツール使い方は簡単です。
【国内正規代理店品】X-rite エックスライト ディスプレイキャリブレーションツール i1Display Pro アイワン・ディスプレイプロ KHG1035
ColorChecker&i1Displayの使い方参考
http://www.tachitto.com/2017/02/colorchecker-passport.html
DELL P2415Qをキャリブレーションして、いよいよ4K60Pの動画を再生する環境が整いました。
4K60P動画DC-GH5のサンプルフッテージ
Panasonic GH5は、世界初4K/60p記録ができます。サンプルフッテージをダウンロードしてLIVA Zで再生してみましょう。サンプルフッテージが公開されているのは(すぐ見つかるのは)、ルーク・ニューマンの動画です。
4K60Pのサンプルフッテージがダウンロードできます。
GH5は、2017年3月発売です。ISOの性能が良くて素晴らしいです。欲しくなります。4Kが60fpsでクロップなしで撮影できるとか・・すごいっ!
Panasonic ミラーレス一眼カメラ ルミックス GH5 ボディ ブラック DC-GH5-K
ダウンロードしたファイルのなかの「60p snow handheld.mp4」を検証に使います。八の字に揺れる4K60Pの動画ですので、コマ落ちが発生しているか確認するのに最適です。
グレーディング向けの映像になっているので、ちょっと色を入れてみます。Adobe Premiere Proで開いて編集します。灰色っぽい映像を夜にしたり、朝にしたり、色合いを変更することでさまざまなシーンを再現できます。最新のゲームをプレイするための推奨サイトは次のとおりです スイートボナンザ デモ
鮮やかな色にしました。
書き出し設定します。概要を見ると、3840×2160ピクセル59.94fpsであることが分かります。ちゃんと60fpsあります。ビットレートは高めに100Mbpsに設定しました。
LIVA Z N3350タイプで4K60P動画をスムーズに再生できるのか??
まずCPUの性能が低いN3350タイプのLIVA Zから検証します。メモリやストレージは増設していません。60Pの再生のためにDP出力でモニターに接続しています。
4K(3840×2160ピクセル)59.94fps、ビットレート100Mbpsの4K動画をLIVA Z N3350のローカル環境で再生してみます。スタートはカクツクものの、その後はスムーズに再生されています。
4K60Pで再生できるということは、ほとんどの4K動画をスムーズに再生できるということです。LIVA Z N3350でもローカルにおける4K再生は、スムーズにできることが分かりました。まったく問題ありません。
タスクマネージャで4K60Pの再生に、どれだけパワーが使われているかチェックします。動画のリピート再生時には、CPUの負荷率が100%に届きます。ギリギリな感じです。
その後は20%の負荷に落ちついてます。GPUも再生時に20%ぐらいになりますが、そのあとは1%に低下します。再生してしまえば、あまり処理能力を必要としないのかもしれません。
次はローカルではなくブラウザー(Edge)で、Youtubeの4Kが再生できるかテストします。CPU使用率は常に100%です。もう限界ギリギリな感じですが、オンラインで4Kの再生がスムーズにできました。(ちなみにChromeブラウザーだとCPUへの負荷が高くコマ落ちします。)
起動中にOSのアップデート等が始まると、急に重たくなります。購入したばかりで動きが遅いときは、OSのアップデートが終わるのを待ってみましょう。その後、スッキリ動くようになります。
LIVA Z N4200タイプで4K60P動画をスムーズに再生できるのか??
2コアのN3350タイプでスムーズに再生できました。4コアのN4200タイプならスムーズに再生されるに決まっています。あれ・・・・・カクカクする。。。4コアのN4200タイプだと、何度やってもカクカクします。
タスクマネージャーで負荷をチェックします。うーん。。。。CPUの使用率もN3350より低いのに・・・・なぜかコマ落ちします。ファームもWindows更新も最新版なのに。。。
HD505(N4200)が実行ユニット(パイプレイン数)も多く、性能が良いはずです。何になぜ。。。
HD500(N3350)
http://www.notebookcheck.net/Intel-HD-Graphics-500.182723.0.html
HD505(N4200)
http://www.notebookcheck.net/Intel-HD-Graphics-505.182722.0.html
翌日まったく同じ条件で再テストしました。今度はスムーズに再生されました。何かWindowsのファイルが更新中だったのかもしれません。
4K60P再生中でもCPUに余裕があります。2コアではCPUが毎回100%に達したところ、4コアでは60%に届いているか、いないかです。
ローカルではなくブラウザー(Edge)でYoutubeの4Kが再生できるかテストします。こちらでもCPUに大きな余裕があります。らくらく再生している印象です。(※やはりChromeブラウザーだとCPUへの負荷が高くコマ落ちします。残念)
以上。LIVA Zはどちらの機種を選んでも、4K動画をローカルでもオンラインでもスムーズに再生できます。4コアタイプを選べばCPUに余裕が出てきます。
HDMI出力ができるので、リビングに4KモニターがあるならECS LIVA Zを設置して、4K動画を大画面で楽しみたいものです。4Kは大画面で見てこそ力を発揮します。